cage

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ELICITYインタビューお受けいただき、ありがとうございます。初めに自己紹介をお願いします。

cageと申します。
ボカロを使った作品を発表したり、最近は「鳥籠の中で僕たちは、」という音楽プロジェクトで活動しています。
得意ジャンルはギターロックとバラードです。ギターは弾けません。

活動名の由来についてお伺いしてもよいでしょうか?

自分の影っていつでも「そこにいる」じゃないですか。
生まれてから死ぬまで、無条件で自分に寄り添ってくれる感じで。
そんな風に僕の作る音楽も、いつでも誰かに寄り添えるものだったらいいなという願いを込めて付けました。
あとは鳥籠の英訳「cage」とのダブルミーニングです。

音楽を始めたきっかけや本格的にボカロP活動を始めることになったタイミングなど、今までの音楽経歴について教えてください。

小学校の頃からドラムとピアノを習っていました。
高校入学と同時にピアノはやめてしまいましたが、ドラマーにはなりたいとずっと考えていました。
作曲を始めたのは高校在学中で、ある日なんとなくフレーズが降りてきたので曲を書き、
いい感じになったのでニコニコ動画で公開したのがきっかけです。

ドラムと作曲という音楽漬けの青春でしたが、
高校、大学とバンド活動を続けていくうちに「自分、ドラム向いてないんじゃ…?」と思い始め、
作曲活動に専念するようになりました。

バンドやユニット、シンガーソングライターなど自分の音楽を発信していく手法としては様々なものがありますが、ボカロPとして活動していくことを選んだのはなぜでしょうか?

自分の思想を純度100%で出力できるからです。
始めた当初は他人が自分の曲を歌うことに抵抗がありました。
自分じゃない誰かが歌うことで、自分が曲に込めた想いが多少なりとも別の形になってしまうと思っていたからです。
かといって僕自身も歌うのは得意ではないし…となった時、
自分の代わりに歌ってくれる「ボーカロイド」の存在を知り、導入しました。

楽曲制作で重視していることはなんですか?

歌詞とメロディです。
僕はヒロイックなメロディが好きなので、耳に残るようなメロディを目標に一曲一曲制作しています。
歌詞に関しては、なるべく伝わりやすく…それでいてちょっと詩的な雰囲気も漂わせるような作詞を心がけています。

普段どのように楽曲制作に取組んでいるのか、そのプロセスについてお聞きできればと思います。

何かをしているとき(お風呂、トイレ、散歩など…)にふっとメロディが思い浮かびます。
それを鼻歌で歌ってみて「これはいいな」と思ったらすぐさまボイスメモで録音、DAWに打ち込みます。
同時にはまりのいい単語を思いついたらそのままボカロで打ち込んでおきます。
その後はとりあえずギターとベースでコード進行、ドラムでリズムを打ち込んで曲の概形を作っていき、
繰り返し聴きながら作詞や編曲を進めていく感じです。

一番時間がかかるのは作詞で、
テーマが決まっていても登場人物の性格や思考回路が明確に分かるまで制作が進みません。
そうやって作詞だけができていない曲が何曲も溜まっています。

自分の得意なジャンル、世界感などがあれば楽曲と共に教えて頂ければと思います。

「人生において無駄は必要か」「自殺は悪か」など、
誰もが人生で一度は考えることについて触れた曲が多いです。
正解のない問いに対して自分なりの答えを導き出し、曲を通して伝えるような作品を作ることが好きなので。
曲調的な話をすると、ハードロックやラウドロックで育ってきたところがあるので、
シンセをピコピコ鳴らしたりギターのリフを前面に押し出した曲をよく作ります。

たくさんの楽曲の中から選ぶのは大変かと思いますが、初めての方に聞いてほしいイチオシのご自身の曲を教えてください。

8月に公開した「彼岸花は僕の死体に咲く」です。
諸事情あって公開まで2年かかったこともあり、とても思い入れの深い作品でもあります。

ボカロ曲だと「四畳半メランコリック」です。
僕がどんな作品を作りたくてボカロPをやっているのかがよくわかると思います。

ここからはcageさんの代表作でもある「彼岸花は僕の死体に咲く」について詳しくお聞きしていきたいと思います!

①タイトルに込めた想いや意味について教えて下さい。

自分の才能に気づける人はほとんどいません。
もしかしたらその才能が「彼岸花」のように忌避されるようなものの可能性もあります。
それでも自分の才能に人生を全て賭けることの尊さや美しさを表せるようなものにしました。

②楽曲の必聴ポイントを教えて下さい。

ボーカルのTORiさんの表現力です。
ともすれば陳腐に聞こえかねない歌詞を、ありったけの表現力で表現してくれました。

③制作に関するエピソードがあればお願いします。

歌詞を書くのにすごく悩みました。
あまりに悩みすぎて深夜の公園でブランコにゆられながら書いたり、
近くの神社に座り込んで神様パワー(あるのかわからないけど)を借りたりしながら書いていました。
思い返すと明らかに不審者だったと思います。
結局完成するまで半年かかりました。

④作品に対するリスナーなどからの反響はどうだったでしょうか?

美しくもあり、儚くもあるいい曲だと言われることが多い印象です。
惨い真実を取り繕って綺麗にすることを念頭に制作した楽曲であり、
万華鏡を覗くような気持ちで聴いてほしい曲だと考えているので、概ね狙い通りのものが作れてほっとしています。
音楽をやっている友人や音楽業界で働く方にもほめていただくことが多い楽曲で、
久々にいい曲が書けたんじゃないかと勝手に考えています。

今ボカロや歌ってみたなど、いわゆる生のLIVE主体というよりは音源をアップする活動をベースとした 「ネット発の音楽」や「ボカロP」という存在がだいぶ世の中に受け入れられて来たと感じていますが、このような世の中の反応についてボカロPとしてどのような印象をもたれましたか?

ありがたいことであると同時に当然のことだとも思います。
例えるなら「嫌いなピーマンを久しぶりに食べてみたらおいしかった」ぐらいの反応ですね。
今のボカロとメジャーの音楽シーンの違いは「ボカロを使っているか否か」しかありません。
作家としての能力は大差ないので、いつかは受け入れられる時が来ると考えるのは必然だと思います。
それを「ボカロだから」という理由で食わず嫌いしていた層が、
とうとうボカロにも手を出すようになったからの今です。
そういう意味で、食わず嫌いの克服のきっかけになったYOASOBIさんやChinozoさんには感謝しかありません。

ボカロの登場は自分の曲を世に出すというハードル下げたことのみならず、音源に伴ったMVやイラストを作成するクリエイターだったり、歌い手として他人の曲を歌うことで表現するなど、多くの人に可能性ときっかけを提供できるプラットフォームになっていると思います。今後も根強い人気のコンテンツとなると思いますが、ボカロが続いていくためにはどのような変化が必要になると思いますか? ボカロP視点でのご意見を聞かせて頂ければと嬉しいです。

特に必要ないんじゃないかなと思います。
ボカロシーンはこの十数年であらゆる音楽シーンの要素を吸収し、
当初のアングラではなくメジャー文化により近くなりました。
そのうえで「ボカロっぽさ」のようなものも残っていて、
それがメジャーシーンに受け入れられるようになってきた。
なので、ボカロ自体が音楽における一つのジャンルになってきていると感じています。
また、ボカロ以上に敷居の低い音楽シーンが存在しないということもあり、
これからも初心者からプロまで幅広く楽しめる音楽ジャンルの一つとして長く残っていくのではないでしょうか。

「ボカロ」と「歌ってみた」はネット発の音楽文化として切り離せない関係にあるとおもいますが、本来「ボカロが歌うために作られた楽曲」を生身の人間がカバーするという流れは他のジャンルや文化にはなくとても特徴的な部分だと感じています。「ボカロ」と「歌ってみた」の今までの関係性やこれからの在り方など、何か考えや思うところがあればおしえてください。 

今も昔も持ちつもたれつではないでしょうか。
昨今はボカロPと歌い手がユニットを組んで活動することが多くなりました(僕も例に漏れず)が、
それはライブハウスで昔から起こっていたことです。
それがネットシーンに拡張し、より多くの人、多くの才能と接触する機会が増えたことによって表面化したのが
「ボカロP」と「歌い手」の関係性ではないかと思います。
いい作品を作る、という一点において現代は最高の環境なので、
これからもいろんな方といい作品を作れたらいいなー…と常日頃から考えています。

普段の趣味や何か他にされている活動などがあれば教えてください。

金魚が好きで、自宅に何本か水槽を立ち上げて飼育しています。
あと、元ドラマーということもあってドラムが大好きで、いくつか楽器をコレクションしています。

その他アピールしたい部分などご自由に記載ください。

勉強もスポーツも芸術も、全て「継続は力なり」です。
辞めさえしなければいつかは何か起こると信じて、一緒に頑張りましょう。

今後の活動について実現したい目標があれば教えてください。

アリーナでライブがしたいです。
できれば、音楽の教科書に載るようなアーティストになりたいですね。

インタビューへのご回答ありがとうございました。最後に読者の方へのメッセージをお願いします!

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
これからもボカロPとして、作曲家として精力的に活動していくつもりです。
もしよければ応援していただけると嬉しいです。

鳥籠の中より愛を込めて。




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ボカロPの皆様へ

今回の特集にあたり、ポリシーを持って活動されていて、
インタビューさせていただけるボカロP様を募集しています。
ご参加いただける方は、以下条件を踏まえた上で、のフォームよりご回答いただければ幸いです。
<インタビュー掲載料:2,000円>

インタビュー設問フォーム

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