ELICITYインタビューお受けいただき、ありがとうございます。初めに自己紹介をお願いします。
「ぐちり」と申します。ロックが好きです。昔から妄想が好きで、いつも頭の中で考えていた物語を楽曲として発表しています。
活動名の由来についてお伺いしてもよいでしょうか?
本名からくり抜きました。「愚痴り」からではないです。
音楽を始めたきっかけや本格的にボカロP活動を始めることになったタイミングなど、今までの音楽経歴について教えてください。
昔から音楽に触れていたらしく、物心ついたころからとあるアーティストが好きでいつも真似していたと聞いています。
VOCALOID楽曲は中学3年の頃にカラオケで友人が歌っていたところから気になり始め、そこからハマっていきました。
ボカロP活動のきっかけは明確な出来事がないのですが、高校時代にフリーのDAWソフトで耳コピするなどで遊んでおり、いつからかオリジナル楽曲も作り始めていました。
その後お金をためて、大学3年の頃から機材を準備し、翌年の春に投稿活動を開始しました。
ボカロでも他のジャンルでも自身の音楽性に影響を与えたものについてお伺いできればと思います、音楽やそれ以外のコンテンツでも構いません。
VOCALOIDシーンではNeruさん、まふまふさん、kemuさん、トーマさんなどに強く影響を受けています。
他ジャンルではヴィジュアル系のバンド、特にJanne Da Arc や ViViD などの影響を強く受けています。
他にも、T.M.Revolution や L’Arc~en~ciel などもルーツの一つです。アニソンにも影響を受けていると思います。
バンドやユニット、シンガーソングライターなど自分の音楽を発信していく手法としては様々なものがありますが、ボカロPとして活動していくことを選んだのはなぜでしょうか?
単純に「VOCALOID楽曲が好きだから」です。
特に2011~2013年頃の、ボーカロイドがストーリーテラーのように歌によって物語を紡ぐタイプの世界観と、テンポの速いロックの融合がとても好きです。自分としては、そういった作風を目指しています。
「この道を選んだ」というよりも、「やりたいからやってみた」に近いです。
楽曲制作で重視していることはなんですか?
「キャッチ―さ」と「自分の大好き」をいかに混ぜ合わせられるかを大切にしています。
普段どのように楽曲制作に取組んでいるのか、そのプロセスについてお聞きできればと思います。
歌詞については「フィクション:ノンフィクション」を「9:1」の割合で制作しています。
基本は、頭の中の妄想の物語でキャラクターが動いている場面を歌詞にしていますが、その根底に自分の言いたいことを軸として据えているというイメージです。
ぐちりの制作工程としては、基本的にメロディと歌詞がほぼ同時にできるので、そのメロディに合わせて楽器を足して肉付けしていく流れです。
ここからは新曲の「ニトロ」についてお伺いしたいと思います。
①タイトルに込めた想いや意味について教えて下さい。
『ニトロ』というタイトルは「ニトログリセリン」から取りました。物語の主人公が爆弾魔という設定なので、そこからの着想です。
②コンセプトや表現したかった世界観について教えて下さい。
自己と他者の“正義”の価値観
③楽曲の必聴ポイントを教えて下さい。
構成が非常にシンプルで、かつBメロがありません。
なので比較的覚えやすいし頭の中にも残りやすいかなと思います。
あとは、シシドさんというボカロPの方に弾いていただいた超絶カッコいいギターにも注目していただきたいです。
④制作に関するエピソードがあればお願いします。
MV制作時、動画の藍瀬まなみさんに建物を爆発していただいたのですが、あまりにリアルな炎だったので「燃えすぎでは?」と緊急会議になりました(結果、採用となりました)。
また、そのシーンの後、女の子が爆発した建物を見上げるシーンがあるのですが、イラスト担当の暇さんが「本屋で流れてるコミックのティザー映像じゃん」と言い放ったため、今後の目標に「作品をコミカライズして書店にティザー映像を流す」が追加されました。
⑤作品に対するリスナーなどからの反響はどうだったでしょうか?
楽曲単体としては過去に別バージョンとして発表していたものでしたが、MV化に当たり一部作り直していたり音を追加したり差し替えたりという工程を挟んだので、そういった点に気付いてもらえてうれしかったです。
また新規に聴いていただいた方々も「カッコいい!」と言ってくださったり、またMVのストーリーを考察して「○○なんじゃないか」と言ってくださったりという声も耳にします。
どの感想も、嬉しい限りです。ありがとうございます。
ご自身の使用されているボーカロイドになにかこだわりや思い入れはあるでしょうか?
自分だけの(ぐちり楽曲の)歌声だと聞いてすぐにわかるように、特徴的な設定をしています。
ちなみに少し幼めで高い声の設定です。
今ボカロや歌ってみたなど、いわゆる生のLIVE主体というよりは音源をアップする活動をベースとした「ネット発の音楽」や「ボカロP」という存在がだいぶ世の中に受け入れられて来たと感じていますが、このような世の中の反応についてボカロPとしてどのような印象をもたれましたか?
他のLIVEを主体とするアーティストも同じように活動している人を拝見することがあり、そうした所謂「ネット発」がどうというようなくくりも薄れてきているなと感じます。
またMVの他にもLIVE映像などを活動としてネット上にアップロードすることもありますので、今後は「ネット発」というくくり自体がなくなっていくのではないかと思っています。”
ボカロの登場は自分の曲を世に出すというハードル下げたことのみならず、音源に伴ったMVやイラストを作成するクリエイターだったり、歌い手として他人の曲を歌うことで表現するなど、多くの人に可能性ときっかけを提供できるプラットフォームになっていると思います。今後も根強い人気のコンテンツとなると思いますが、ボカロが続いていくためにはどのような変化が必要になると思いますか?ボカロP視点でのご意見を聞かせて頂ければと嬉しいです。
「VOCALOID」というコンテンツを好きな人たちがこれからもずっと好きでいることが、一番続いていく理由になりうると思っています。
「ボカロ」と「歌ってみた」はネット発の音楽文化として切り離せない関係にあるとおもいますが、本来「ボカロが歌うために作られた楽曲」を生身の人間がカバーするという流れは他のジャンルや文化にはなくとても特徴的な部分だと感じています。「ボカロ」と「歌ってみた」の今までの関係性やこれからの在り方など、何か考えや思うところがあればおしえてください。
好きなように曲を作るボカロPと、好きな曲を歌う歌い手の関係は、親がい好きなことをしているに過ぎないと自分は考えています。
みんなが好きなことを自由にできるフィールドで共存する関係性は面白いなと感じます。
基本的にはボカロPとしてボーカロイドに歌ってもらう曲を作るわけですが、自分のボカロ曲をカバーしてほしい歌い手などはいるでしょうか?
特にいません。
自分自身、人間が歌うような曲を作れているとは思っておりませんので…。
(個人的に好んで聴いている歌い手さんは大勢おります)
昨今のボカロPはセルフカバーで歌われる方も多くいますが、ご自身や他の楽曲でもカバーをしてみたいという気持ちはあるでしょうか?
自分で歌うのも大変な曲ばかり制作していますので、歌う気はないです。
「やりたいな」と思ったタイミングがあればやるかもしれませんが、予定はありません。
近年ボカロPや歌い手の数もどんどん増えてきています。リアルでのLIVEや活動というのもアーティストとして一つの選択肢ですが、ネットカルチャーの中で、ボカロPとして表現することの楽しさについてお伺いできればと思います。
好きなことを好きなように表現できるので、作りたいものを作り放題できます。
常識の範囲内であれば、制約なくやりたいことを自由にできるのは強みだと思います。
人間の再現不可能な早口や高低差も、正確に表現してくれます。
普段の趣味や何か他にされている活動などがあれば教えてください。
アニメ鑑賞やスマホゲームをしています。ラブライブ!シリーズが大好きです。
自分の得意なジャンル、世界感などがあれば楽曲と共に教えて頂ければと思います。
「アストレアの失望」です。
個人的に最も得意なテンポ感のロックです。
神話を基にした世界観で、話の大筋もその内容に沿って制作しました。自分の思っていることも少し織り交ぜつつ、登場キャラの気持ちをうまく表現できた楽曲だと思います。
たくさんの楽曲の中から選ぶのは大変かと思いますが、初めての方に聞いてほしいイチオシのご自身の曲を教えてください。
「ニトロ」です。「アストレアの失望」にも言えますが、自分らしいロックかなと思っているので、ぜひ聴いてみてください。また、MVにもこだわりを感じていただきたいです。
インタビューへのご回答ありがとうございました。最後に読者の方へのメッセージをお願いします!
作品たちを気に入っていただけたら幸いです。
好きなお菓子はじゃがりこです。
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今回の特集にあたり、ポリシーを持って活動されていて、
インタビューさせていただけるボカロP様を募集しています。
ご参加いただける方は、以下のフォームよりご回答いただければ幸いです。
※活動の実績が長い間ない場合や、
MVなどの再生数が2,000未満の場合、掲載をお断りさせていただく場合がございます。