higma

今回は「The VOCALOID Collection ~2020 Winter~」でも「窓辺のモノローグ / higma feat. 初音ミク」がボカコレランキング総合10位、ルーキー枠では4位にランクイン、また「マジカルミライ2020」において公式にテーマソングのリミキサーに選出される実力派ボカロPでありながら、MVやアルバムジャケットの作成などを自身の映像作成グループでも行うなど、非常にマルチな才能をお持ちの「higma」さんにインタビューさせて頂きました!昨年11/15には1st Album「hue」をリリースされており、多彩な楽曲の数々を世の中に送り出しています。それでは、そんなhigmaさんのいろいろな面に迫っていきたいと思います。

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ELICITYインタビューお受けいただき、ありがとうございます。初めに自己紹介をお願いします。

 higmaです。主にVOCALOIDを用いた楽曲制作や、それに合わせたイラスト、動画の制作を行っています。最近は「STUDIOhigma」という映像グループも作りました。

音楽を始めたきっかけや本格的にボカロP活動を始めることになったタイミングなど今までの音楽経歴について教えてください。

 前にバンドを組んでいたことがあり、そこで曲を作ったりもしてましたが、当時は本格的に音楽をするつもりはなくやがて解散しました。その後は趣味的にDTMを触ることもあったのですが、全く操作方法が分かっていませんでした(シンセの仕組みを一つも理解していませんでした。)やがて他にやりたいことが見つかり、そのことに打ち込むために完全に音楽から離れていたのですが、自分の望んだ世界からどんどん離れていく感覚がありました。そのうち精神的に参ってしまい何もできなくなる所まで追い込まれた時に、本当にやりたいことは何かを考え、DTMを触り始めました。
 ボカロの存在は勿論知っていて好きな曲もいくつかありましたが、初めはボカロを使うつもりはありませんでした。しかし当時自分は海外におり、ギターやマイクは日本にあったので自分で歌う手段がありませんでした。それに加えて自分の友達が有名ボカロPになっていたことや、たまたまYouTubeで自分が好きなアーティストがVOCALOIDで曲を作るという企画を行っていたり(マルチネボーカロイドスクール:https://youtu.be/RizBUGBqexg)、偶然ピノキオピーさんの「内蔵ありますか」(https://youtu.be/GSpwTvYgFrM)という曲をYouTubeで聴いたことで、今のボカロが自分が知っているものからかなり変化している事に気付き、パソコン一つで作れるならと思い、ボカロを使って曲を作り始めました。
 関係無いですが、去年の「マジカルミライ2020」でテーマソングを担当されたピノキオピーさんにお声がけ頂き、会場限定でCD購入者が貰えるテーマソングのRemixを公式に作らせて頂くことになり、本当に生きていてよかったと思いました。

ボカロでも他のジャンルでも自身の音楽性に影響を与えたものについてお伺いできればと思います、音楽やそれ以外のコンテンツでも構いません。

音楽に関していえば、沢山ありますが、特に

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Red Hot Chili Peppers
ハヌマーン
ダフト・パンク
中田ヤスタカ
BUMP OF CHICKEN
ASIAN KUNG-FU GENERATION
くるり
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あたりをよく聴いていました。
ボカロPだとラムネさんの曲をよく聴いていました。「北18条」という曲が特に好きです。(https://nicovideo.jp/watch/sm22241580
あと衝動的の人(現 ヒトリエのシノダさん)の「食べなくちゃ」という曲も何度も聴きました。(https://nicovideo.jp/watch/nm17630812)また基本インドアですが建築を見ることがとても好きで、海外に住んでいるときはよく教会に行ったりして、その時感じた感覚を音で表現したりします。日本の建築家だと特に丹下健三と安藤忠雄が好きで、丹下健三は東京カテドラル聖マリア大聖堂、安藤忠雄は直島の地中美術館が好きです。

バンドやユニット、シンガーソングライターなど自分の音楽を発信していく手法としては様々なものがありますが、ボカロPとして活動していくことを選んだのはなぜでしょうか?

 先程言ったことと重なりますが、自分で歌いたくても歌えない環境にいたということと、ボカロは人間らしい表現とシンセ的な表現どちらもできて、曲作りの幅が広がって楽しそうだなと思ったからです。例えば自分の曲で「夜とステップ」という曲があるのですが、人が歌うのは少し難しい部分があり、ボカロだからこそ作れた曲なのかなと思います。あと、ポップな曲は自分ではなく初音ミクが歌ったほうが絶対にカワイイです。

higmaさんは音源のジャケットやグッズのデザインを自分で手がけられているとのことで、拝見しましたが、幾何学的で無機質な雰囲気やvividなカラーリングがとても素敵でした。絵の方はいつから取り組まれているのでしょうか?またこのネットカルチャーの界隈で好きな絵師さんがいたら教えて頂ければと思います。

 ありがとうございます。褒めて頂き嬉しいです。絵を書くことはずっと好きで、幼稚園から漫画を描いたりしてました(漫画のタイトルは「スーパーうんちくん」でした)所謂イラストはhigmaとして活動するまで描いたことは無かったのですが、iPad Proを手に入れたこともありhigmaのアイコンや動画のイラストを描くようになりました。(知り合いが誰一人いない状態でボカロPになったので、イラストの頼み方が分からないから仕方なく自分で描いてみたらなんか楽しくなってきた、という流れです)
 デザインに関する活動もしているので、それに関わることは一応一通りできます。好きな絵師さんに関しては、Twitterで好きな絵を見かけるたびにフォローしていて無限にいらっしゃるので、一部を挙げさせて頂くと

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パンチさん
ohutonさん
ぽんすけかいかいさん
Kouさん
MITSUMEさん
KICOさん
がーこさん
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が好きです。


曲としては生のバンドサウンドよりはシンセや打ち込みのビートを中心としたDTM的なアプローチが多いかなと感じました。楽曲制作自体はどういったプロセスで作業にあたっているのかお聞きしてみたいです。

 まれにお風呂で歌った鼻歌のアイデアを膨らませて作ったりしますが、大体はDAWでサンプルを並べたり新しい音源で色々遊んだりしてる時に偶然できたフレーズから曲を作ります。例えば適当に弾いたアルペジオで気に入ったフレーズができたらとりあえず永遠にループさせて、そこからベースを入れて最初から最後までの構成の骨組みを作り、それと同時かその後ドラムを作り込んで、コードとメロディはわりと最後に添え物的に作ります。
かと思えば「あの花とブルー」は弾き語りながら作った曲もあります。一貫性がありません。
 「いい曲を作ってやる」みたいな気持ちで作るよりも、とにかく何も考えずに遊びながら作った曲の方が気に入ってたりします。例えば、「夜とステップ」や「窓辺のモノローグ」あたりが遊びながら作った曲です。 

昨年11/15に1st Album「hue」をリリースされていますね。全16曲の構成で、チップチューンや疾走感のあるロックサウンドまで聞き応え満載の内容でした。こちらのアルバムついて色々お聞きできればと思います。

①今回のアルバムのタイトルは「hue」ということで普段見慣れない単語ですが、こちらのタイトルに込めた想いや意味についてお伺いできればと思います。

 「hue」は「色相」という意味の英語です。このアルバムは自分が曲を作り始めてから最新曲まで約1年半の間に作った曲をほとんど全て収録していて、ジャンルも曲に込めた想いもバラバラです。それらを一つのアルバムにまとめようと考えた時に、色んな色が混ざり合って一つのパレット上に存在しているようなイメージが浮かんで、「hue」という名前にしようと決めました。

②アルバム「hue」のコンセプトについてお話を聞かせてください。

 基本的に今まで作った曲をまとめているだけなので(アルバム曲は1曲のみ)特にコンセプトはありませんが、曲順が作った順になっているので、聴き進めるたびにhigmaの成長を感じて頂ければと思います…

③こちらのアルバムについてリスナーなどからの反響について教えてください。

 「最高〜〜〜」や「音が気持ちいい」などの声を頂いています。嬉しいです。
あと、動画の方ではあまり見られていない「ロスト・ラスト・ロンリー・デイズ」が意外に人気で驚いています。

アルバム曲でもありますが、昨年12月にMVが公開された「窓辺のモノローグ 」についてお聞きしたいと思います。

①効果音を取り入れた多彩なビートとポップな音使いのシンセの相性が心地よく、何処と無くchill的な要素を感じ聞き応えがある楽曲でした。この曲のこの部分を聞いてほしい!という必聴ポイントがあればお願いします。

  ありがとうございます!自分は生活音のような音の素材(サンプル)をASMR的に聴いて楽しむことがあり、この曲はそんな素材が気持ちよく聴こえるようにDAWで加工して遊んでたらできた曲なので、ASMR的にも楽しい曲だと思います。ASMR好きは必聴です。

②こちらのMVのコンセプトや表現したかった世界観についてお伺いできればと思います。

 こちらの曲はyosumiというVsingerの方に提供させて頂いた曲で、曲のテーマもyosumiさんをイメージして作りました。一応ストーリーもありますが、それは裏テーマなので伏せておきます。女の子が二度と会えない人を想って窓辺で外を眺めている、というイメージです。
 また、自分の中でもう一つ裏テーマがあって、この曲を作る少し前に自分にとって大切な人が亡くなり、その人に向けて書いた曲でもあります(そう作るつもりはありませんでしたが、自然とそうなってしまいました。)。作りながら泣いていました。

③映像の製作者として「STUDIOhigma」という表記になっておりますが、こちらはhigmaさんを中心とした映像制作を行うグループになるのでしょうか?その活動内容や趣旨についてお話頂けると嬉しいです。

 「STUDIOhigma」は現在自分と、先程名前を挙げさせて頂いたイラストレーターのKICOさんがメンバーの映像グループです。KICOさんとは元々仲がよく、お互いの作品が好きということもあり、初めは依頼をするつもりで窓辺のモノローグの動画を作ってくれませんかとお声がけしました。自分はループアニメーションのようなものをイメージしていることをお伝えしたのですが、時間にあまり余裕が無く一人では厳しかったため、自分は監督と主に動かして動画にする部分の担当、KICOさんには背景と、女の子が動く元素材のイラストを描く担当というように役割分担をして動画を完成させました。
 その後無事完成し、最後クレジットを入れる時に今回の役割分担の表記に困り、いっそのこと「STUDIOhigma」という映像グループを作りませんか、と半ば冗談で提案した所快くOKを頂いたので、このような表記になりました。大変ありがたいことにKICOさんを初め、数名の方が「STUDIOhigma」で一緒に作品を作りたいと言って下さるので、今後も「STUDIOhigma」で自分の曲の映像を作っていければと思います。

たくさんの楽曲の中から選ぶのは大変かと思いますが、初めての方に聞いてほしいイチオシのご自身の曲を教えてください。

「夜とステップ」がおすすめです!自分でも気に入っています。

今後の活動についてhigmaさんとして実現したい目標があれば教えてください。

 楽しんで音楽を作ることが当初からの目標ですが、最近色んな人に見て頂けるようになって、とても嬉しいのですが、その分周りと比較してしまい落ち込むことも多くなりました。これでは本末転倒なので、自分のペースで自分の好きな曲を作っていこうと思います。

ありがとうございました。最後に読者の方へのメッセージをお願いします!

最後まで読んで下さりありがとうございました!これからも頑張るのでよろしくお願いします!






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