ovEnola

デスコアやインダストリアルメタルなどに影響を受けた東京ラウドシーン新時代の担い手「ovEnola」。 結成から2年も経っていないが重厚なライブパフォーマンス、サウンドは圧巻。 今回は結成当初の制作話や現代ラウドシーンに感じる思いなどを聞いていきます。

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ELICITYインタビューお受けいただき、ありがとうございます。
早速ですが、メンバー皆様の自己紹介をお願いいたします。

yuto:
ba.のyutoです。作編曲も担当しています。活動開始時はギターを弾いていました。

kneeya:
vo.のkneeyaです。

satomi:
dr.のsatomiです。

anzai:
gt.のanzaiです。

Twitterの開始時期は2018年5月24日ですがバンドとしての制作や準備期間はいつ頃からのスタートだったでしょうか?
またovEnola結成の経緯を教えてください。

yuto:
デモの製作開始自体は2016年くらいからです。なので初音源のリリースまで2年ほどの期間を設けたことになります(あまり実感はないです)
結成の経緯は、kneeyaがちょうど前のバンドをやめて暫く経って、『そろそろ新しいバンドやりたい』ってなったときに誘われてスタートしました。

楽曲の要素としてはデスコアやメタルコアといったジャンルが基盤になっていますが、
メンバー皆様それぞれの音楽的なバックグラウンドを教えてください。

kneeya:
おっしゃる通り、基盤となっているのはメタルコアやデスコアになるかと思います。
ただ、イメージしているのはインダストリアルメタルやニューメタルを自分たちなりにモダンにしたもの、です。

yuto:
好きなジャンルやバンドを挙げだすときりが無いんですが、現状ovEnolaの楽曲が大きく影響を受けているのはSlipknot・ポップパンク・激情ハードコア・カオティックハードコアなどです。
メタルコア・ポストハードコアも好きですが若干聴いてた時代に偏りがあります。電子音楽だとローファイ系とエレクトロニカ・フューチャーファンクなどが好きです。あとはゲーム・アニメのサントラとかよく聴きます。

satomi:
僕は正直、所謂ヘビーミュージックといわれる音楽を全くと言って良い程聴いた事がないまま生きてきたので、バンド内での会話やライブハウスでの会話にもついて行けない事が多いです。
メタルコアもデスコアも怖い音楽という事だけは今も昔も変わらない解釈なので、ovEnolaの楽曲の演奏は「日常の崩壊」を自分の中のテーマにして表現しています。

anzai:
いわゆるHM/HRからメタルコアに入りました。最近ではブラッケンドに興味があります。ギタリストとしては、主にサウンド面でLUNA SEAのSUGIZO氏から影響を受けています。

ovEnolaの楽曲制作のプロセスを教えてください。

yuto:
制作プロセスは2パターンあって、ひとつは自分の家にkneeyaを呼んで楽曲イメージを口頭で伝えてもらい、自分の手癖などを混ぜながらリアルタイムでデモを完成させるやり方。
もうひとつは自分がひとりでデモを書き上げてからkneeyaからの注文で曲を修正していくやり方です。どちらも細かい編曲は自分ひとりでやってますが、楽曲イメージやコンセプトの部分ではkneeyaを頼ることが多いです。

特に音楽のジャンルやシーンは限定しませんが、競合として意識しているアーティストがいれば教えてください。

kneeya:
競合というのとは違うかもしれませんが、SLOTHREATやSable Hillsには助けてもらってます。

yuto:
意識しているというか同シーンで好きなバンドになっちゃうんですが、Falling Asleep、PROMPTS、Vision Of Fatima、かっこよくて大好きです。

satomi:
サポートメンバーとして携わった事のあるMAKE MY DAY、Sailing Before The Wind、A Ghost of Flareの活動はチェックさせて頂いています。
どのバンドも解散という危機を経験しながらも、強い気持ちをバンド活動に向け、界隈最前線を今もなお突き進んでいるので尊敬出来るし、最高のミュージシャンだと思っています。彼らの活動を見ると自分もやらなきゃなという気持ちになります。

anzai:
自分もKneeyaと同じで、SLOTHREATには助けてもらっています。こちらも競合とは少し違いますが、ベースとなる音楽は違えども最近のOTUSのアプローチには親近感を感じます。

先日「Debug My Video Game Error & ANTIKNOCK pre.  【デジタル黄泉比良坂】」でのパフォーマンスを拝見させて頂きました。
ソリッドでバリエーションに富んだスクリームとブルータルかつメリハリのある楽器隊が強みだと思いました。
ovEnolaとしてはライブ作りにおいてどういったことを意識して取り組まれていますか?

kneeya:
“ヤバい”と言われるバンドのライブを見て、何がそう思わせるのかを自分なりに解釈し、参考にしています。

yuto:
言葉などのある一定の定義がしやすいものよりも、音や見た目などのもっと抽象的なものを優先して、解釈は各人に任せたいと思っています。怖いと思う人もいれば、かっこいいと思う人もいるし、身近な存在に感じる人もいれば、遠くに感じる人もいる、みたいな。

satomi:
フワッとした表現ですが、バンドのアンサンブルの事に関しては、自分以外の楽器の音にフォーカスする事ではなく、「その楽器をもったメンバーそのもの」にフォーカスする事を意識しています。
あとは、ホラー映画のようなライブを作る事を目標としているので、休符を揃える事と「休符を鳴らすイメージの共有」は出来るだけするようにしています。口頭で伝えた事はありませんが、自然とみんなそれをわかってくれているので、息の合った演奏が出来ているのかなと思います。

anzai:
ovEnolaのデジタル・インダストリアル感を感じてもらうために、縦のリズム、休符のキレなどを意識しています。サウンド面ではエンジニアリングも担当してもらっているSLOTHREATの克哉氏からアドバイスをもらって、ソリッドかつパワフルな音を意識しています。

2018年5月24日にMV「Noose」を発表し、音源としては初めてovEnolaの曲が世に出たわけですが、
「Noose:しめ縄」というタイトルや歌詞の内容からも「死による救済」というものをイメージしましたがこの曲に込められているメッセージについてお教え下さい。

kneeya:
この曲に関して言えばおっしゃる通り、死による救済がテーマです。全ての曲に言えるのですが、歌詞のテーマには破壊的であったり絶望感であったり、ネガティブなものを用いています。
ただ、ここから伝えたいのは、怒りや不満は曲中に置いていって普段は安らかに生活してほしいという想いです。

現在音源としてリリースされている「1st EP “Death Wish”」について、
こちらはバンドキャリア初のEPとなりますが、こだわった点やEPのコンセプト、製作時のエピソードなどがあれば教えて頂ければと思います。

kneeya:
常にそうですが、その時の最善を尽くしているつもりです。エンジニアには友人でもある克哉(SLOTHREAT,Misanthropist)を起用し、助けてもらいました。

yuto:
自分がこういったジャンルの楽曲を制作するのが初めてだったので、基本的には手探りで作ってました。ただ、ジャンルとしてこれはアリか?ナシか?みたいなのは一切気にしないことにしてました。
『とりあえず作っちゃおうぜ。あとでkneeyaに判断させて直せばいいや』くらいの気持ちで。なのでボツになった曲もリリースされた曲と同じくらいありますし、作ったときの原型とどめてないくらい変形した曲もあります。Death Wish収録のBlindとか、最初のデモと全然違います。
ただ『何でもアリ』のつもりでもずっと不安でしたね。自分の作った曲がかっこいいのか全然わかんなくて「これでいいのか?このままでいいのか?」と毎日のように考えていた気がします。みんなは「いいじゃん!かっこいいじゃん!」って言ってくれてたんですけど、自分では全然わかんなくて。
でも一番最初に完成させたNooseのボーカル乗った瞬間に「これじゃん!あってんじゃん!」って自分の中ですげえ腑に落ちた感じがあって(笑)。それから先は一切の迷いなく曲が書けるようになった気がします。

メタルコアやデスコアはジャンルとして「定番化しているサウンドや展開」も多くひと工夫する意識が薄れるとテンプレ化した枠にはまりがちになると思います。
ovEnolaとしての個性を出すために他のラウド系の音楽との差別化はどのようにされていきますか?

kneeya:
特に差別化を図っている意図はありません。強いていうならばインダストリアル要素を取り入れたバンドが好きなのに日本には少ないので、やろうかなというくらいです。

yuto:
むしろ定番化することのほうが自分にとっては難しいです。自分だったら絶対作ってて楽しくないし満足できないので…。「こういうことやったらおもしろそう!」とか「この音入れたら意外と合うんじゃないか?」とかアイデアを見つけるアンテナと自分のフィルターを通したアウトプットをどれだけ洗練できるかは常に意識してます。たまにコケてメンバーにダメ出しくらったりもするんですが。

直近では2019年11月にMV「Devastator ft. ZUHO of Abort Mastication/OZIGIRI 」を公開し、上記企画ライブへの参加などコンスタントに活動を続けられている印象ですが、今後の音源/MVのリリース予定やライブなどの活動予定についてお聞かせください。

yuto:
今年はアルバムのリリースを予定していて、今必死に編曲・レコーディングをしているところです。
ライブは誘われたらやるぞー!くらいの感じなので結構未定です。これを見てるバンド関係者の方いましたら是非誘ってください。あとアルバムのリリースパーティーはやりたいですね。

現在は主にメタルコア / デスコアなどラウド系のシーンにて活動をされているかと思いますが、
今のラウド界隈やバンドを取り巻く環境について意識されている課題はありますか。

kneeya:
よく”今の客は~”なんて話も聞きますが、個人的にはお客さんはそんなに変わってないと思います。
前のバンド(Sailing Before The Wind)にいた時から考えるともちろんいる人の入れ替わりはありますが。
むしろ今のお客さんは、僕らが高校生だった10年前くらいと比べると、圧倒的にインターネットに触れてる人が多いですし、音楽もたくさん知っています。
少し新しいくらいでは反応しないシビアな若い子もたくさんいると思います。だからこそ、好きになってくれる人にアプローチして行く必要が求められていると思います。
これはどこの界隈、シーンでも変わりませんし、音楽に限らないと思いますが。課題という意味では一番感じるのはこういった問題です。

バンド活動を続けるうえでは多くの困難があり、常にベストといえる状況で活動するのはなかなか難しことと思いますが、
メンバー皆様の個人として音楽を続けるモチベーションと、ovEnolaとして音楽をするモチベーションを教えてください。

kneeya:
常に新しい音楽を聴いて、新しくやりたいことを探しています。やりたいことを持つことが一番モチベーションを保つことにつながっていると感じています。

yuto:
やりたいことはやる。やりたくないことはやらない。ストレス溜めない。思ってることは言う。でもマンネリにはしない。エンジョイ・アンド・エキサイティングです。

satomi:
そうですね。ライブ前にスタジオに入れなかったり、ライブ当日にインフルエンザにかかったり笑。
逆にそういう困難や逆境をこの4人なら軽々と超えていけるなと思えるし、逆にスタジオに入れなくても、困難を乗り越えられると不思議と4人のアンサンブルもパワーアップしてるのが耳と肌で感じられるので、その逆境こそがモチベーションになっていたりするかもしれません。このバンドに誘ってくれた事には本当に感謝してますね。

anzai:
月次ですが、バンドの活動としてうまく行っている姿をイメージして活動に取り組むことと、うまくいっている姿をイメージするために、楽曲のアレンジやレコーディング、楽器の練習などを自分が納得できるまできっちりやることだと思ってます。

バンドのキャリアとしては間もなく3年目を迎え、益々の活躍が期待されますがovEnolaとしての目標やプランを教えてください。

kneeya:
今年はアルバムを出す予定なので、それに合わせて今までやったことのないところでやってみたいというのはあります。

yuto:
やりたいこと自体はたくさんあるんですが、まずはいろんなとこでライブしたいです。日本国内でもアジアでもアメリカでもヨーロッパでも。あとは映画・ドラマ・アニメなどの映像作品タイアップとか…。言い出すとキリがないですね。

satomi:
僕satomiとgtのanzaiは所謂2期メンバーで、活動期間もまだまだ短いですが、この4人になるべくしてなったバンドだと思うので、僕らにしか作れない音楽をこれからも作って行きたいなと思うばかりです。

anzai:
個人的には海外のイベントに出演したいです。

この記事を読んでいる読者へのアピールやメッセージをお願いします。

satomi:
この記事を読んで頂いたという事は、ovEnolaに興味があるという事だと思うので一度YouTubeでミュージックビデオのチェックをお願いします。見て頂けたらライブに来なくてもいいです。
今度はSpotifyに登録して僕らの他の楽曲に出会ってみてください。ライブハウスに行くかどうかはそれから考えましょう。僕らは音楽を辞めたりしません。いつでも会いに来てください。

anzai:
ぜひ気になるバンドを見つけたライブハウスに足を運んでみてください。



Official WEB:http://ovenola.com/
Twitter:https://twitter.com/ovEnolaJP
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCO53l4i3TvBtuwvZE4y7DTg