ELICITYインタビューお受けいただき、ありがとうございます。初めに自己紹介をお願いします。
ボカロPのFtyと申します。お洒落でノれる曲を届けます。よろしくお願いします‼︎
音楽を始めたきっかけや本格的にボカロP活動を始めることになったタイミングなど今までの音楽経歴について教えてください。
もともと家族や親戚に趣味でバンド活動をしている人が多く、幼少期から家にあったキーボードでひたすら遊んでいました。TVから流れてくるメロディを真似したり、当時から自分なりに曲のような何かを作っていたような記憶が残っています(笑) 今思い返せば、あれが作曲の始まりだったのかもしれません。しかしその後は音楽活動をする事はありませんでした。JPOPやアニメソングやゲームソングを好んで聴いたり、ヒトカラの採点モードでひたすら練習するような音楽好きでした。
転機となったのは大学2年生の時です。ある時「曲を作ってみたい」と思い立ちました。 いろいろ調べてみると、今はPCで曲を作れる事(DTM)を知りバイト代を貯めてDAW(Steinberg社のCUBASE)を購入しました。しばらくは歌モノではなくBGMを制作していました。ボカロP活動を始めたのは2018年です。 もともと歌う事が好きだったので、歌モノも作りたいと思いVOCALOIDを購入しました。 そこからしばらくブランクがありましたが、2020年より本格的にボカロPとして活動を始めました。
ボカロでも他のジャンルでも自身の音楽性に影響を与えたものについてお伺いできればと思います、音楽やそれ以外のコンテンツでも構いません。
曲作りで大きく影響を受けているのは以下です。
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・ずっと真夜中でいいのに。
・東京事変
・ポルノグラフィティ
・アニメソングやゲームソング全般
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東京事変やポルノグラフィティは学生時代にハマってよく聴いていました。 東京事変は少し難しい言い回しや難解な曲調の作品が多いですがとてもお洒落で何回も聴きたくなる曲が多いです。ポルノグラフィティはカッコよくてどこか哀愁のある曲が多くて好きです。両方とも今の作風にかなり影響を与えている印象があります。
アニメソングやゲームソングに関しては世界観に合った様々な曲調があり、そこから多様なジャンルに触れるきっかけになりました。 またそれらの楽曲はロックやジャズやR&Bなどのジャンルを取り入れながらも最終的にJPOPの形式に落とし込んでおり曲作りの奥深さを知るきっかけにもなりました。
バンドやユニット、シンガーソングライターなど自分の音楽を発信していく手法としては様々なものがありますが、ボカロPとして活動していくことを選んだのはなぜでしょうか?
やはりボカロによって表現の幅が広がるという面が大きいです。 以前のインタビューで、よたばいとさんも仰っていましたが、自分もボカロに偏見があり全然聴いていませんでした。歌モノを作りたいと悩んでいた時、知り合いに40mPさんの『からくりピエロ』を紹介されて聴いた瞬間にボカロの世界に引き込まれました。 そこからいろいろなボカロ曲に触れて好きになり、ボカロPになる事を決めました。また、ボーカロイドの調声(声色や歌い方の細かいパラメータを編集)を出来ることも魅力の一つです。もともとカラオケで歌う事が好きだったので、自分が歌う時をイメージして自然な歌い方になるように意識しています。
ボカロというジャンルに限らず自分の活動において意識しているアーティストなどはいますか?
「ずっと真夜中でいいのに。」です。デビュー曲の『秒針を噛む』を偶然にも投稿直後に聴いて衝撃を受けたのを覚えています。 様々な雰囲気の曲が映像とリンクして織りなされる世界観に毎回圧倒されます。今は動画サイトでMVとして見る機会が多いと思うので、曲だけでなく1つの映像作品として魅せるという部分がとても時代に合っていると感じます。 その辺りを自分の活動で参考にしています。
Ftyさんは初音ミク,vFlower,鏡音リンなど様々なボーカロイドを使い分けているようですが、それぞれの良さや使い分け方などがあればお聞きしたいです。
曲の雰囲気とボーカロイドの声色を考えて選んでいます。 特に最近はvFlowerと初音ミク(通称:花ミク)の組み合わせにする事が多いのですが vFlowerはカッコよくて少しダーク雰囲気があります。初音ミクは繊細で可愛い雰囲気です。 対照的な2人で歌う事でとても表現の幅が広がり世界観に深みが増します。
楽曲の歌詞に着目して何点かお聞きしてみたいと思います。
①歌詞についてはFtyさんご本人ではなく別の方が手掛けていることが多いようですが、作曲と作詞を分けている理由についてお伺いできると嬉しいです。
作詞が得意な人に担当してもらって、世界観を存分に表現したいという理由が大きいです。複数人で1つの作品を仕上げる事が好きなのと、同じ世界観でも自分では考えつかなかったような言葉の表現に出会うことが刺激になります。 音源が完成した後でも、頂いた歌詞を読んだうえで閃いたフレーズや楽器を曲に反映させたことも多々あります。そもそも自分自身が、自分の心が強く動いたりとても悩んだりした時ではないと、納得のいく作詞が出来ないという部分が大きいです(笑) そういった面では作詞作曲を両方行っているボカロPさんは凄いと思います。
②いずれの作品も歌詞と楽曲の世界観がとてもマッチしていますが、歌詞は作曲の前後どちらで仕上げるのでしょうか? また別々に生み出される歌詞と楽曲をすり合わせていくフローについてもお聞きしてみたいです。
ほとんどは作曲が一通り終わった後にデモ音源をお渡しして作詞をしてもらっています。 お渡しした段階で、世界観や登場人物やキーワードをお伝えしています。 最近では世界観を作詞の方と一緒に考えることも多いです。普段お願いしている作詞の方々は本当に素敵な方ばかりなので、歌詞の訂正をお願いする事はほとんどありません。①でも書きましたが、むしろ頂いた歌詞を読んで楽曲を歌詞の方に寄せていく事の方が多いです。
Ftyさんの強みは多様な世界観を持ちながらも程よくお洒落さを取り入れて楽曲に昇華させているところだと感じました。そういった楽曲を作り出す制作プロセスについてお聞きできればと思います。
ありがとうございます!!とても嬉しいです。今はお洒落な曲がとても多い印象がありますが、「お洒落さ」を改めて考えてみるととても抽象的です。 楽曲として表現するまでにはなかなか時間がかかりました。制作プロセスの一番最初であり、重要だと思う部分はインプットです。 好きなアーティストの曲や流行りのボカロ曲は必ずチェックするようにしています。 またジャンルに限らずヒットチャートにも目を通すようにしています。 今どのような曲が支持されているか把握しながら、好きなアーティストの要素も盛り込めるようにしています。
アウトプットの部分では、「曲ごとの世界観」を第一に考えたうえで 「流行りの要素」「好きなアーティストの要素」を良いバランスで表現できるように心がけています。
ニコニコ動画で瞬間最高2位やYouTubeのFlower週間新曲ランキング1位を記録しており、Ftyさんの代表曲とも言える「ダンシング・シーフ faet.flower・初音ミク」についてお聞きしたいと思います。
①アダルトでお洒落なバンドサウンドと歯切れのよいピアノが刻むメロディが印象的で思わずリピートしてしまうカッコよさがあります!この曲のこの部分を聞いてほしい!という必聴ポイントがあればお願いします。
嬉しいご感想ありがとうございます!! 2番のAメロが必聴ポイントです。 曲全体としてジャズテイストでノリの良い曲なのですが、ここの部分はそれまでの部分と違って落ち着いた感じの曲調になります。 ボーカルもflowerから初音ミクになり一気に雰囲気が変わるので聴いていて楽しいポイントだと思います。
②MVのコンセプトや表現したかった世界観についてお伺いできればと思います。
素敵な歌詞はUNIONさんに書いて頂きました。今回は作詞の段階から一緒にストーリーを考えて、曲全体として1つの物語のようにしてみました。 2人の怪盗の駆け引きが楽しめる世界観になっています。MVはアルセチカさんに作ってもらいました。アルセチカさんは絵が素晴らしいのはもちろんですが、MVが本当に細部までこだわりぬいて作られていてどこを切り取っても楽しく観られます。 MVの中でトランプが何度か登場するのですが、実はトランプのマークの強さがこのストーリーの鍵になっています。そこもアルセチカさんが絶妙な編集で表現してくれたのでぜひ注目してみてください!!
③反響なども多くあったと思いますがいかがでしょうか?
今までで一番多くの反響があり本当に驚きました。 ニコニコ動画のVOCALOIDタグでの毎時2位やデイリー4位、YouTubeの方ではFlower週間新曲ランキングで1位など数字の面でももちろん嬉しいですが 作品を観てくれた人が楽しそうにコメントを書いてくれたりTwitterで感想を書いてくれているのを見てとても幸せな気持ちになりました。
たくさんの楽曲の中から選ぶのは大変かと思いますが、初めての方に聞いてほしいイチオシのご自身の曲を教えてください。
『躍動ビートステップ』です。 こちらは2020年の4月に投稿した楽曲で、Ftyという存在を知ってもらう一番最初のきっかけになった曲です。 作詞は那薇さん、イラストはネリさん、映像はkou423さんです。 4つ打ちで中毒性のある曲になっていて、MVもアニメーションを取り入れた構成になっています。 また、こちらの作品はニコニコ動画の有志企画である「VOCALOID生放送大賞2020(4月)」でMV大賞を受賞しました。 2021年から自分の事を知った方が多いと思いますので、 ルーツである『躍動ビートステップ』を聴いてもらえると嬉しいです。
今後の活動についてFtyさんとして実現したい目標があれば教えてください。
直近の目標としてはアルバムを完成させたいです。 そして既に1stアルバムの作成を始めています。 やはり音楽と向き合って活動した証をアルバムとして残すのは創作活動においてとても意味があると思います。アルバム全体として楽しめるようなコンセプトアルバムを考えていますのでよろしくお願いします!!
ありがとうございました。最後に読者の方へのメッセージをお願いします!
最後まで読んでくれてありがとうございました!! そしてELICITYさんにもこのような貴重な機会を下さりありがとうございます。 今後もお洒落でノれる曲を届けます。 よろしくお願いします!!
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